永日小品/夏目漱石 著

 わりと短めで読み易かった三作品、第三段はこちら。
 こちらも前回同様、夏目漱石先生の、恐らくは私小説になるのでしょう。小さな話が盛り沢山。ですがそれ以外も混じっているような構成になっております。

 分類してみると、こんな感じになるのでしょうか。違っていたら御免なさい。

  • 私小説
    • 家族のお話
      • 火鉢
      • 猫の墓
      • 行列
    • 知人のお話
      • 元日
      • 変化
      • クレイグ先生
    • 出来事のお話
      • 泥棒
      • 下宿
      • 過去の匂い
      • 山鳥
      • 紀元節
    • 旅行のお話
      • 暖かい夢
      • 印象
  • 創作?
    • 人間
    • モナリサ
    • 火事
    • 懸物
    • 儲口

 「猫の墓」はかの有名な「吾輩は猫である」の猫の最期のお話。何とも感慨深いです。「泥棒」も同作品中のねたの一つですね。「元日」もそうかしらん?似たような雰囲気の内容が、あったようななかったような。
 旅行のお話の前三編は倫敦ロンドン、後一編は蘇格蘭スコットランドのお話のようです。

 創作? は、やはり先生特有の描写の巧さが良いです。ですがそれぞれ短いので、物語性は薄いようです。「金」だけは少し異なり、小咄みたいな面白さがありました。

 こちらは修善寺の大患前の作品のためか、叙述の妙が前面に出ており、内容もそれ程暗くありません。「行列」の落ちなどは、何だかとても微笑ましくて思わずにやりとしてしまったり。

 そんな感じで。